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REITには法人税がかからない件(2012/02/27のフォロー) [金融]

久しぶりの投稿です。以前

http://himakou.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27

という記事において

「法人税は税金の二重取りなので撤廃すべきだ!!」

という主張を行いましたが,数日前の日経新聞一面に

「一定の条件を満たしたREIT(不動産投資信託)には法人税がかからない」

という趣旨の記述を見つけたので,当時の自分の考えが独善的でないという思いを強くし,備忘のために記事にするものです。~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

REIT(不動産投資信託)というのは,投資家から集めた資金を単数あるいは複数の不動産物件に投資し,その賃料収入を集めて投資家に分配するためのツールのことですが,ウィキで調べると,こんなことがわかります。

・REITを発行するビークル(ツールとほぼ同義)としては,信託が用いられる場合(いわゆる契約型)と法人が用いられる場合(いわゆる会社型)があるが,後者の方が多い。いずれにしても,二重課税が排除される仕組みを具備することでREITとして活用しやすくするものが一般的。

・会社型REITにおいては,課税対象所得の9割以上を投資家に分配する等の適格要件を満たせばREIT段階で税金が課されない仕組みであり,投資家段階のみの課税で済む。

つまり,「REIT段階で税金が課されない」とは「会社型REITに法人税が課されない」という意味ですから,ワタクシが主張したとおり,法人税は税金の二重取りの恐れが常につきまとうということの裏返しだと思います。

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

例によって,ここで少しだけヒネクレておきます。上で述べたとおり,会社型REITが課税対象所得の9割以上を投資家に分配しないと法人税が課されてしまうわけですが,これはなぜでしょうか。

以前ワタクシが主張した法人税撤廃の主張は,投資家への分配状況を特段気にしていませんでした。ワタクシの主張では,企業が投資家への分配を抑えて内部留保に回した場合でも,それは将来の分配原資をプールしているにすぎず,いつか投資家に分配される際に所得税として課せばシンプルではないかというものでした。この意見はいまも変わりませんが,税収の安定の立場から考えると,「取れるときに取っておいた方がよい」という意見もわからないではありません。

ワタクシは税金の二重取りさえ回避できれば,課税のタイミングにはあまりこだわりがないので,法人税を撤廃する代わりに,「法人税率を所得税率と同一の一定税率としたうえで,株式配当や株式売却益には課税しない」という方がいいかも知れません。しかし,法人税率を所得税率を常に一致させなければならないのは,徴税サイドからすると不自由な気もします。

そこで,思いつきのアイディアとしては,法人税を払った企業は,法人税額を株式数で割った金額を記した券面を「法人税支払証明書」として発行し,個人株主は確定申告によって同額を所得税から控除してもらうというのはどうでしょうか。つまり,株主は「分配金領収証」とは別に「法人税支払証明書」が企業決算時に送付される仕組みです。これなら事務負荷も大したことなさそうですね。(なお,くどいようですが,分配金には所得税を課すべきではありません。)

このアイディアでは,個人株主はすでに支払った所得税額以上に法人税を取り返すことは,確定申告によってはできませんが,「法人税支払証明書」を金券ショップのようなところで売却すれば同様の経済効果が得られます。

ところで,金券ショップに持ち込まれやすい「法人税支払証明書」がどういうものかというと,所得税をあまり払っていない個人が利益の大きい企業の株式をたくさん保有しているようなケースですが,これはいわゆる「資産家」と呼ばれる人々のことでしょう。「資産家」は,保有株式の相場動向だけでなく,「法人税支払証明書」の相場動向も気にする必要があるというわけです♪ おしまい。
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