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株式相場のファットテイルについて [金融]

最近,日本株はありがたいことに,政府の景気対策と日銀の追加金融緩和を好感して反転上昇しています。効き目があるかどうかはともかく,何ごともやらないよりはましということですね。しかし,米国も金融緩和ムードを高めており,為替相場がきれいに反転ドル高といく期待は持ちづらいですね。8/25に仕込んだTOPIX-ETFはじっくり持ってみることにします。今日は株式市場のファットテイルについて。株式市場だけでなく,相場物についてはよく言われているところですが,これらの値動きは単純な正規分布には従わず,もっと両裾の長い分布に従うことが観察されます。これをファットテイル(太った裾)といいます。なぜこうした現象が起こるのかについて,過去にさまざまな研究が行われています。

こう書くと,「いきなり何を言っているんだ。株はよく売り買いするけど,正規分布とか太った裾があるとか気にしたことはないぞ」という反応があるかも知れません。しかし,こういう現象は気になったことがあるかも知れません。すなわち,「リーマンショックとか大きく売られた後はしばらく売り相場が続く傾向があり,逆に大きく買われた後はしばらく買い相場が続く傾向がある気がするなあ」といったものです。これはファットテイルをわかりやすく言い直したものです。

こうしたファットテイルが市場で観測される一方で,単純な正規分布に従うような値動きも納得感のあるものです。ノーベル経済学賞をとった,有名なBlack-Scholesによる株価モデルは,短い時間における株式の値動きが対数正規分布に従うというモデル化を行っています。対数正規分布も正規分布もここでは大した違いはありませんから,あまり気にしないことにすると,つまり,株式相場は,正規分布に従う局面と,よりファットテイルになる局面が混在しているということのようです。原因は以下のようなものが考えられます。

[1] 何らかの要因でいったん大きな変化が起こると,これがきっかけで過去の値動きとの正相関が強まってしまうようなメカニズムが働くため。売りが売りを,買いが買いを誘発するようなイメージであり,割とありそうな話ですよね。上できちんと言っていませんでしたが,日々の値動きが過去の値動きに左右されない(無記憶性)ことが正規過程の特徴であり,これを緩めようというものです。

[2] 何らかの要因でいったん大きな変化が起こると,これがきっかけで値動きのボラティリティが高まってしまうようなメカニズムが働くため。売りが売りを,買いが買いを誘発するようなイメージとは違い,大きな値動きが荒れ場を作り出すといったイメージ。

ワタクシの理解では,上の二つはかなり似ています。なぜかというと,正規過程とは,非常に細かい時間刻みの一つ一つの時間の値動きが互いに無相関であるのに対し,大きな変化が起こったら時間刻みを粗くしてやることにすれば,もとの時間刻みの何個分かが団子状態になったままゴロンゴロンと値動きするといったイメージを持てば,上の二つが似てみえませんか。

もとの時間刻みの何個分かが団子状態になったままゴロンゴロンと値動きするといったイメージは,値動きの自由度が下がった状態を意味します。ここで,正規分布の自由度が下がった分布がスチューデントのt分布であること,スチューデントのt分布は自由度が下がるほどファットテイルになること,などに気づけば,すべての部品がつながってくる気がします。

続きはまたいつか。
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