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不動産ノンリコースローンのモデル化(2011/04/05からの続き) [金融]

昨日久々に書いた「不動産ノンリコースローンのモデル化」 http://himakou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05 の続きを考えてみようと思います。前回までの暫定的な結論は以下のようなものでした。(1)不動産価値(Value)の挙動をブラックショールズに倣って対数正規過程に従うことにする。リスク中立測度の下であればValueの期待成長率は安全金利に一致することになる。

(2)Valueの現在値は類似物件の取引実勢から類推(=外挿)することにする。

(3)Valueの変動性(=ボラティリティ)については各Valueのヒストリカルボラに一律の掛け目(1.1とか1.2とか)を掛けることでリスクプレミアムを表現することにする。掛け目の値については,ヒストリカルボラとインプライドボラの両方が観測できる指標的なCMBS(商業不動産担保証券)から推定する。

だんだんイメージがわいてきました。あとはヒストリカルボラとインプライドボラの両方が観測できるような指標的なCMBSをどこから持ってくるかです。Valueのインプライドボラの代わりに市場実勢価格がわかればよいわけですが,CMBS市場に詳しい人によれば,GSMS 2007-GG10というCMBSが発行残高も多く,指標銘柄として愛用されているとのことでした。しかし,いくら指標銘柄といっても国債などと違って,公示性のある市場実勢価格が簡単に手に入るとまではいきません。何か他の手はないでしょうか。

実は,発行残高の大きいCMBSをいくつか束ねてクレジットデリバティブとして取引する市場が存在します。CMBXというのですが,現在までに5回号が認知されており,各回号はそれぞれ25個のCMBSディールを参照資産としており,各CMBSディールはAAAクラスから順に信用力の異なる複数のクラスを持っているために,CMBXの各回号もそれぞれ7つのクラス(AAAからBBBまで)を持っています。これを使えば市場実勢価格がわかりますし,また原資産の平均像も統計的にわかるため,Valueのヒストリカルボラを手に入れることもそれほど難しくはないでしょう。以上で,4回にわたって連載(?)してきた「不動産ノンリコースローンのモデル化」についてはいったん終わりとしたいと思います。疑問やご意見のある方は是非コメントお願いいたします。
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