消費税とベーシックインカムについて [政治]
野田首相は最近,消費税増税の実現に向けて頑張っていますね。ワタクシは基本的に賛成の立場なんですが,国民からは反対意見も少なくない。賛成派の主な根拠は
(0)社会保障の財源確保が急がれる。
なわけですが,反対派は,社会保障の財源確保の必要性には理解を示しつつも,主な反対の根拠はこんな感じでしょうか。(1)年金を始めとするや社会保障における世代間格差や不公平感を放置して財源確保に走るのは間違っている。 (2)安易に増税に頼るのでなく,公務員・議員の総数削減を含む,無駄な歳出の削減を先行すべき。 (3)景気回復による税収増加を目指すべき。景気が不安定なこの時期に消費税増税で水を差してはむしろ逆効果。 (4)低所得者に厳しい消費税増税は弱いものいじめだ。所得税の累進税率強化など,高所得者に対して積極的に増税すべき。
以下,個別にみていきます。まず,(1)についてはまったく違和感ありませんが,既得権益が絡むだけに具体的なやり方が難しい。今回はいったん議論を先送りします。
(2)についても心情的には理解しますが,こういう意見を新聞の投書欄に出すような人々の何割かは,単に税金を払うのを免れたいだけなんではないかと,ワタクシはついゲスしてしまいます。政府が信用できるならば,集まった税収は国民のために適切に使われるわけですから,税金を払うのをそんなに嫌わなくてもいいのかなと思いますが。。。 もちろん,政府の歳出のやり方が信用できないから「小さな政府」を志向するというのであれば,至極まっとうな議論だとは思いますが,今回の話は具体的な使途が特定されているわけで,政府が有能か無能かという話はそれほど前面に出てくるものではないのではないでしょうか。
(3)については,どちらかというと「大きな政府」を志向する人々の意見でしょうか。増税せずに放っておけば自然と景気が回復するというよりは,政策によって需要を高めるとか生産性を高めるとか,そういった話ですよね。しかし,税収の自然増で社会保障の財源問題が解決したとしても,本質的な世代間の不公平感の問題は解決していないような気がします。結果オーライ的な印象が拭えません。
今回のポイントは(4)です。「低所得者に厳しい消費税増税は弱いものいじめだ」という意見なんですが,何だか中途半端なステレオタイプの反応としか思えません。消費税の逆進性がもしあれば,これを解決する方法はいくらでもあります。ワタクシが特に主張したいのは
ベーシックインカム
です。
ベーシックインカムとは,全国民が一律に一定金額を支給されるという仕組みのことで,例えは悪いんですが,生活保護が貧富の差によらず全員に一律に行われるという感じです。この制度の何がいいかというと,税制がどうあろうが,誰もが一定以上の生活水準が送れるという憲法上の権利(生存権でいいのかな?)が,書類審査等の煩雑な手続きなく実現されるということです。この場合,税制もかなりシンプルなものにすることができます。例えば,以下のようにすれば公平間のある税制が実現できるのではないでしょうか。
・消費税~食料とか日用品とか贅沢品とか区別なく,購入金額に対して同じ税率でよい。
・所得税~収入の多寡によらず同じ税率でよい。複数の職場から収入を得ていても気にせず源泉徴収してよい。
・住民税~行政サービスの対価であり,収入に無関係に一人当たり同じ金額でよい。
さて,ベーシックインカムの導入に際して,気になる点がないでもありません。以下,何点か考えてみます。
(1)働かなくても暮らしていけるので,労働意欲の低下につながりかねない
→これは,ベーシックインカムも生活保護も似たようなものではないでしょうか。生活保護は毎月役所に手続きにいかなければもらえないだけましとの意見もありますが,へたに働くと生活保護がもらえなくなるといって労働意欲が低下している面も否定できません。ベーシックインカムなら,収入に比例した金額だけベーシックインカムに上積みされるので,働き始めのハードルは低いのではないでしょうか。
(2)ベーシックインカムの分だけ税収を増やす財源を手当てする(表現をより明確にしました)必要があり,自営業者の収入の捕捉精度を高めたり,サラリーマンのフリンジベネフィットの捕捉精度を高めることで,不公平感をなくす必要がある
→これはもちろんです。ベーシックインカムによってすでに最低限の生活水準が保証されているわけですから,農産物の自家消費や相場を大きく下回る住宅貸与については金銭以外の収入としてきちんと捕捉する必要があります。
(3)年金や健康保険との関係は?
→年金の積み立てや健康保険の保険料については,最低金額がベーシックインカムから支払われていると整理することで取りっぱぐれがなくなり,無年金や無保険の問題が解消されます。ついでにいうと,学費についても公立学校の学費がベーシックインカムから支払われていると整理することで取りっぱぐれがなくなり,貧しくて学校に通えないとか給食が食べられないといった問題が解消されます。
→最低限度以上の年金や健康保険,あるいは学費については,民間ベースでいくらでも対応してもらえればいいわけです。変に制度の二階建てとか三階建てとかにするとわけがわからなくなります。私立学校については,公立学校並みの学費は国費負担とし,差額を各人が払うことになります。
なお,今回は以下のサイトを参考にさせていただきました。大変勉強になりました。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/ikedanobuo/1433074
(0)社会保障の財源確保が急がれる。
なわけですが,反対派は,社会保障の財源確保の必要性には理解を示しつつも,主な反対の根拠はこんな感じでしょうか。(1)年金を始めとするや社会保障における世代間格差や不公平感を放置して財源確保に走るのは間違っている。 (2)安易に増税に頼るのでなく,公務員・議員の総数削減を含む,無駄な歳出の削減を先行すべき。 (3)景気回復による税収増加を目指すべき。景気が不安定なこの時期に消費税増税で水を差してはむしろ逆効果。 (4)低所得者に厳しい消費税増税は弱いものいじめだ。所得税の累進税率強化など,高所得者に対して積極的に増税すべき。
以下,個別にみていきます。まず,(1)についてはまったく違和感ありませんが,既得権益が絡むだけに具体的なやり方が難しい。今回はいったん議論を先送りします。
(2)についても心情的には理解しますが,こういう意見を新聞の投書欄に出すような人々の何割かは,単に税金を払うのを免れたいだけなんではないかと,ワタクシはついゲスしてしまいます。政府が信用できるならば,集まった税収は国民のために適切に使われるわけですから,税金を払うのをそんなに嫌わなくてもいいのかなと思いますが。。。 もちろん,政府の歳出のやり方が信用できないから「小さな政府」を志向するというのであれば,至極まっとうな議論だとは思いますが,今回の話は具体的な使途が特定されているわけで,政府が有能か無能かという話はそれほど前面に出てくるものではないのではないでしょうか。
(3)については,どちらかというと「大きな政府」を志向する人々の意見でしょうか。増税せずに放っておけば自然と景気が回復するというよりは,政策によって需要を高めるとか生産性を高めるとか,そういった話ですよね。しかし,税収の自然増で社会保障の財源問題が解決したとしても,本質的な世代間の不公平感の問題は解決していないような気がします。結果オーライ的な印象が拭えません。
今回のポイントは(4)です。「低所得者に厳しい消費税増税は弱いものいじめだ」という意見なんですが,何だか中途半端なステレオタイプの反応としか思えません。消費税の逆進性がもしあれば,これを解決する方法はいくらでもあります。ワタクシが特に主張したいのは
ベーシックインカム
です。
ベーシックインカムとは,全国民が一律に一定金額を支給されるという仕組みのことで,例えは悪いんですが,生活保護が貧富の差によらず全員に一律に行われるという感じです。この制度の何がいいかというと,税制がどうあろうが,誰もが一定以上の生活水準が送れるという憲法上の権利(生存権でいいのかな?)が,書類審査等の煩雑な手続きなく実現されるということです。この場合,税制もかなりシンプルなものにすることができます。例えば,以下のようにすれば公平間のある税制が実現できるのではないでしょうか。
・消費税~食料とか日用品とか贅沢品とか区別なく,購入金額に対して同じ税率でよい。
・所得税~収入の多寡によらず同じ税率でよい。複数の職場から収入を得ていても気にせず源泉徴収してよい。
・住民税~行政サービスの対価であり,収入に無関係に一人当たり同じ金額でよい。
さて,ベーシックインカムの導入に際して,気になる点がないでもありません。以下,何点か考えてみます。
(1)働かなくても暮らしていけるので,労働意欲の低下につながりかねない
→これは,ベーシックインカムも生活保護も似たようなものではないでしょうか。生活保護は毎月役所に手続きにいかなければもらえないだけましとの意見もありますが,へたに働くと生活保護がもらえなくなるといって労働意欲が低下している面も否定できません。ベーシックインカムなら,収入に比例した金額だけベーシックインカムに上積みされるので,働き始めのハードルは低いのではないでしょうか。
(2)ベーシックインカムの分だけ
→これはもちろんです。ベーシックインカムによってすでに最低限の生活水準が保証されているわけですから,農産物の自家消費や相場を大きく下回る住宅貸与については金銭以外の収入としてきちんと捕捉する必要があります。
(3)年金や健康保険との関係は?
→年金の積み立てや健康保険の保険料については,最低金額がベーシックインカムから支払われていると整理することで取りっぱぐれがなくなり,無年金や無保険の問題が解消されます。ついでにいうと,学費についても公立学校の学費がベーシックインカムから支払われていると整理することで取りっぱぐれがなくなり,貧しくて学校に通えないとか給食が食べられないといった問題が解消されます。
→最低限度以上の年金や健康保険,あるいは学費については,民間ベースでいくらでも対応してもらえればいいわけです。変に制度の二階建てとか三階建てとかにするとわけがわからなくなります。私立学校については,公立学校並みの学費は国費負担とし,差額を各人が払うことになります。
なお,今回は以下のサイトを参考にさせていただきました。大変勉強になりました。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/ikedanobuo/1433074
2012-02-26 21:01
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