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アベノミクスによる円高是正はなぜ起こったか(2013/03/02の続き) [金融]

こんばんは。1月下旬から何回かに分けてアベノミクスについて自説を展開していますが,今日はアベノミクスによって円高是正が起こったのはなぜかについて語ってみたいと思います。ワタクシは昨日の記事 http://himakou.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02 で以下のようなことを主張しました。

・実質GDPの安定的な成長には,民間セクターおよび公的セクターによるリスクマネーの供給が欠かせないが,受益者の乏しい分野にリスクマネーを供給するのは逆効果である。

この話を掘り下げるにあたり,少しマーケットを振り返ります。民間セクターには余剰キャッシュが潤沢にあったものの,昨年後半までは円高・株安・債券高だったということは,余剰キャッシュはリスクマネーとしての投資には回らず,国債に滞留していたことを意味します。その後,安倍政権の成立前後から円安・株高・債券高が進行しました。

ワタクシはここで問題提起します。

「昨年後半まで,本邦民間セクターの余剰キャッシュが本邦国債ではなく,海外の投資に回らなかったのはなぜか」

格付機関の言うことを真に受けるかどうかはともかく,日本よりもソブリン格付けの高い国は,米国,英国,ドイツ,フランス,カナダ,豪州,オランダ,スイス,北欧四カ国,ニュージーランド,シンガポール,などなど,たくさんあります。円を売ってこうした国債,あるいは優良企業の株式を買う方が安全な気もします。

当時,本邦投資家の相場観としては80円/ドル前後の円高は,国力からみて行き過ぎだと考えていたと思われますが,にもかかわらず本邦国債から逃げなかったのは,別に日本政府に義理立てしていたからではなく,単に為替リスクをとるのが怖かったからにすぎません。

こう考えると,次の問題提起の答えは簡単かも知れません。

「安倍政権の成立前後から円高が是正されたのは,本当にアベノミクスが理由なのか」

上述のとおり,本邦投資家は円高に首をかしげつつも本邦国債に塩漬けしていたわけですから,海のものとも山のものともわからないアベノミクスに本邦投資家が反応して円売りを仕掛けたということはなさそうです。

そうなると,円安の主因は海外勢ということになります。報道から察するに海外勢は安倍政権をどう見ていたかというと,①デフレ脱却に強い執着を抱き,日銀の独立性すら脅かそうとしている,②中国や韓国との領土問題に強硬な姿勢を示している,の二点が際立っていたわけです。これらはいずれも円安要因です。すなわち,アベノミクスに素直に反応したのは海外勢だったと思われます。

以上の主張は特段目新しくないかも知れません。しかし,このように順を追って考えると,アベノミクスに反応して円を売った海外勢は,決してアベノミクスをポジティブに評価していたわけではないという気がしてきませんか。自国通貨を守らない為政者のいる通貨から逃げ出したといった風情。。。

「円安はどこまで続くか」

以上から考えると,円からいったん逃げ出した海外勢が再び戻ってくるシナリオが描ければ,円安は一服すると思われます。

海外勢の目下のテーマは日本株をいつ仕込むかだと思われますが,時価総額ベースでは相当なアンダーウェイトであったとのことですから,買い急がないまでも日本株を仕込むはずです。その過程で(水準はわかりませんが)ドル円と日本株の均衡が訪れるイメージを持っています。

いったんおしまいにします。
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