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農協や生協の配当金には二種類ある件 [金融]

こんばんは。今日のネタはどちらかといえば自分の備忘のためです。農協や生協の組合員になっておられる方には多少関心があるかも知れませんが。。。農協(最近はJAといいます)に貯金口座を開設したり,ローンを借りたりする際は,多くの場合,組合員になるための出資金を払うように言われます。出資金を払うことは,株式会社のお客になる際に株式を買うようなものですが,みずほ銀行で同じことをやっても,みずほ銀行の株主になれとは言われませんね。これはどういうことでしょうか。

これは,JAが株式会社ではなく,協同組合であることが大いに関係しています。株式会社とは基本的には株主のために営利を追求するものであり,この意味では株式会社は顧客のために頑張っているとは必ずしも言えません。もちろん,顧客に高いものを売りつけて利益を上げて株主に還元することは短期的には可能かも知れませんが,中長期的には顧客から見放されるため,結局は株主のためになりません。このため,現代の株式会社は,株主のためだけではなく,現在の顧客や将来の顧客のためにも会社経営を行っていくべきだと考えています。こうした,株式会社にとっての利害関係者を総称してステークホルダーといったりします。

この点,協同組合の場合は話がもっと単純です。協同組合は基本的に営利を追求せず,顧客(利用者といいます)は同時に出資者でもあります。つまり,ステークホルダーが誰であるかとか,誰のために働くのかとか,ぐちゃぐちゃ理屈をこねる必要がないわけです。

ここまでは特段大した話ではありませんが,協同組合が出資者に還元する配当金には二種類あるというのが自然な帰結として出てくるというのが,今回のネタです。

先に種明かしをすると,協同組合には「出資配当金」と「利用率配当金」という二種類の配当金が存在します。前者は株式会社の配当金と同じで,出資単位に比例する形で配当金が支払われます。協同組合の場合,株式会社と違って出資単位が出資者によって偏っているケースはあまりないので,協同組合の儲けは出資者に均等に配分されるイメージです。

これに対して後者は,出資単位に無関係に,利用状況が多いほど配当金が多くなるというタイプの配当金です。農協であれば,会計年度中に預かった貯金に対して支払った利息に比例する配当金であったり,貸したローンに対して受け取った利息に比例する配当金であったりします。生協であれば,会計年度中に支払った購入代金に比例する配当金であったりします。

利用率配当金は,よくある「キャッシュバック」とか「ポイント還元」と似ていますが,大口利用者だけを優遇するという発想ではなく,「儲かってしまったのは価格設定が間違っていたためなので,当時の価格設定を修正するのだ」というセンスに近いようです。こう考えると,利用者との間でやり取りした代金や利息に比例するのは大いに納得できますね。

わからないのは,出資配当金と利用率配当金をどういう配分にするのかですが,営利を追求しないはずの協同組合が利益を上げてしまった場合,これを「価格設定の間違い」と「それ以外」に分解できれば,答えは自然と出てきますが,これはなかなか難しい。面倒なので,すべて利用率配当金でも悪くない気もしますが。。。おしまい。
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