SSブログ

不動産ノンリコースローンのモデル化(2009/10/20からの続き) [金融]

もうずいぶん経ちましたが,2009/10/20に書きかけていた「不動産ノンリコースローンのモデル化」について考えます。前回の暫定的な結論は以下のようなものでした。

http://himakou.blog.so-net.ne.jp/2009-10-20「担保不動産価値(Value)を株価のように確率変動させるモデルについては,不動産価格が株価ほど生き生きしておらず,また債務超過しても事業キャッシュフローさえ回っていればデフォルトしないケースも考えられるため,あまりうまくいかない気がする。やはり,事業キャッシュフロー(例えば利払い前ネット事業キャッシュフロー(NOI))の確率変動と併せて2変数ARMAモデルのようなものを考えてはどうか。」

その後,時間の経過とともにいろいろ考える機会があり,こんな考えに至りました。

「ValueとNOIを同時に確率モデル化するのは確かに美しい。しかし,Valueでさえ時系列データ取得に苦労するのに,NOIのジェネリックな時系列データなど取得が極めて困難であり,信頼に足るモデルのパラメータ推定は現状不可能。このため,二変数の同時モデル化は断念せざるを得ない。このため,Valueだけのモデル化でまかなうことにする。」

「Valueを確率モデル化する場合,ノンリコースローンはValueの上に書かれたオプションと考えることができる。したがって,ブラックショールズの株式オプションの結論が援用可能である。これにより,ノンリコースローンの満期時における累積損失率の分布を与えることができる。」

後の方については少し説明が必要かも知れません。ノンリコースローンは担保不動産と一対一に対応しているのでなく,担保不動産に対して複数のノンリコースローンが対応しており,しかもこれらは優先順位が異なります。抵当権に優先順位があるのと同じ理屈です。ノンリコースローンは期中償還をあまり考えなくてよく,満期時に不動産を売却して返せるかどうかというゲームといえるので,満期時の不動産価値を上位債権者から順に割り振っていく場合に自分の債権がいくら返ってくるかの期待値をオプション理論によって割り出そうというのです。

<以下続く>
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。