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ヒスタミンの体内でのメカニズム(2013/01/07の続き) [健康]

こんにちは。ワタクシが先日,じんましんになった顛末を

http://himakou.blog.so-net.ne.jp/2013-01-07

に書きましたが,その際に「ヒスタミン」についていろいろと面白いことがわかりました。今日はその話を。~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

まず,「ヒスタミンとは何か」についてですが,wikiよりも生物学用語辞典の方がわかりやすいので引用します。

「ヒスタミン」 アミノ酸であるヒスチジンの誘導体で、ヒスチジンのカルボキシル基を除去する反応で作られる生体アミン。異物や組織損傷を認識したマスト細胞などから分泌され、血管拡張作用などの一連の防御反応を誘起する。

補足すると,ヒスチジンというのは人間の体内では作り出せないアミノ酸であり,食べ物等で摂取する必要があるものですが,とにかく,体内で作り出されたヒスタミンはいったんは粘膜等にあるマスト細胞という特殊な細胞の中に貯蔵されているようです。しかし,異物の侵入や体内組織の損傷といった非常事態を認識すると,これを防御するためにマスト細胞から血液中に放出され,何らかの働きをしてくれるようです。マスト細胞はよく「肥満細胞」とも言われますが,肥満とは無関係のようです。

それでは,ヒスタミンはどんな働きをしてくれるのでしょうか。具体的には,体内にある「ヒスタミン受容体」というものに働きかけてくれるようなのですが,wikiからの引用です。

ヒスタミンは特異的な受容体を介してその作用を発揮する。現在のところ4種のGタンパク質共役型受容体が発見されており、受容体によりヒスタミンが結合したときの作用が異なる。ヒスタミン受容体の作用を抑えるのが抗ヒスタミン薬であるが、成分によって抗アレルギー、胃酸抑制の作用を示す。 H1型--平滑筋、血管内皮細胞や中枢神経などで発現し、炎症やアレルギー反応に関わる。 H2型--消化管の細胞などで発現し胃酸分泌反応に関わる。 H3型--中枢神経系などで発現し、ヒスタミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の放出を促進する。 H4型--2000年にクローニングされた。胸腺、脾臓、小腸などで発現が確認されている。H1受容体拮抗薬で抑えられない痒みにH4受容体が関与しているのではないかといわれているが、詳細な働きはまだわかっていない。

つまり,ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合すると,血液の流れをよくしたり,消化活動を活発化したりといった,体によい働きをしていそうですが,話はそれほど単純ではありません。

どういうことかというと,ヒスタミンはしばしば余計なときに大量に血液中に放出されてしまうようなのです。ヒスタミンは,異物の侵入や体内組織の損傷といった非常事態に応じて肥満細胞から放出されますが,例えばスギ花粉のような人体に大して悪さしない異物に対してもヒスタミンが大量に放出されることがあります。また,体の一部分の損傷に対してもヒスタミンが大量に放出されることがあります。

こうした余分なヒスタミンたちは,H1型ヒスタミン受容体に結合すると,正常な体の部分にも炎症が発生します。花粉が原因で起これば花粉症となり,食べ物が原因で起これば食物アレルギーとなり,原因はともかく皮膚の表面に起こればじんましんやアトピー性皮膚炎となり,といった具合です。また,H2型ヒスタミン受容体に結合すると,不必要に胃酸が出過ぎて胃潰瘍を引き起こしたりします。こうなると困り者ですね。

~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

以上,ヒスタミンについて整理すると,以下のとおりです。

(1)普段は肥満細胞に貯蔵されており,異物の侵入や体内組織の損傷といった非常事態になると放出されて体を防御する。 (2)しかし,ときどき非常事態でないのに勘違いして放出され,過剰防衛によってアレルギー,じんましん,胃潰瘍などを引き起こす。

なるほど,ヒスタミンは適所に適度ならよいものですが,場所が悪かったり量が多すぎたりするとよくないわけですね。何だかお酒に似てますね^^

それで,(2)に対しては,ヒスタミン受容体がヒスタミンと結合するのを妨害する薬を用いるという対応策が考えられてきました。いわゆる「抗ヒスタミン薬」というものです。先日のじんましんのときに効いた「クラリチンレディタブ錠」は,まさにH1型ヒスタミン受容体とヒスタミンの結合を妨害する薬だったわけです。あるいは,一時期よくCMで流れていた「ガスター10」という胃酸を抑える薬は,H2型ヒスタミン受容体とヒスタミンの結合を妨害する薬でした。

(2)に対するもう一つの対応策は,肥満細胞からヒスタミンが放出されるのを抑制することです。元はと言えば,不適切なヒスタミンの放出が原因だったわけですから,この方がまっとうな対応策と言えそうです。実際,抗ヒスタミン薬とは異なるアレルギー薬には,そういうものもあり,例えば花粉症の目薬であるインタールという薬がそれです。ただし,そうした薬を使うと,(1)にあるようなヒスタミンのよい効果も減じられてしまうかも知れません。

このため,不適切なヒスタミンの放出を改善するには,薬よりも食生活とか生活習慣の改善といった面が追求されてきたようです。「ためしてガッテン」で,まさにドンピシャリ(死語?)の記事がありました。

http://nhk.jp/gatten/?P1106080

これによれば,赤身魚(マグロ・カツオ・サバ・イワシ・サンマ)がヒスチジンを多く含んでいて,これらを食べると脳内でヒスタミンが生成され,アレルギーやじんましんにならずに脳内だけヒスタミンが多い状態を作り出すことができるので,(1)にあるヒスタミンのよい効果,ここでは不要な食欲の抑制が図られるというのです。これ以外にも,よく噛んで食べるとか睡眠不足を避けるとかが,よい生活習慣のようです。

「ためしてガッテン」では,「血液脳関門」という言葉が出てきました。脳と体の血管の境目にある関所のようですが,ここはヒスタミンは通れないがヒスチジンは通れるということでした。だから,赤身魚を食べると,ヒスチジンは脳にも体にも届き,それぞれの肥満細胞がヒスタミンを生成して貯蔵することになりますが,おそらく脳の方が仕組みが複雑なので,いろんなニーズでヒスタミンが放出されるのかなと思いました。

長くなったのでこれくらいにしますが,食習慣や生活習慣を考えて,脳内,体内のヒスタミンバランスを適切に保ちたいものですね。今日はヒネクレなしでした。おしまい。

<補足>

いろいろぐぐってみて,ヒスタミンの量が人間の精神を左右しうるらしいというリンクを見つけましたが,出典にあたっていないため,今回は参考にしませんでした。一応ご参考まで。

http://d.hatena.ne.jp/gordon-07_1004/20081021
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