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ギリシャ問題と生存権について(前編) [政治]

例によって唐突な博士と助手の会話。

(助手)博士,ギリシャが大変なことになってるみたいですね。

(博士)今頃何を言っとるんじゃ。金融市場はここ数週間,ギリシャがユーロ圏を離脱するかどうかの思惑で乱高下しとるうえに,最近は中国株のバブル崩壊も絡んで大変じゃ。ワシのなけなしの株式投資もトホホな状況になっとるわい。。。

(助手)博士の個人的な資産については話が長くなるので置いときますが,結局ギリシャはどうなるのがいいんでしょうか。

(博士)そうじゃな,この機会に考えてみようか。(助手)ギリシャ問題を初めて聞いたときにまず感じるのは「借りた金はちゃんと返せよ」「金もないのに贅沢してんじゃねーよ」ということでしょうか。

(博士)言葉が汚いな。だがそういう感想は多いだろうな。身の丈に合わない借金をして身を滅ぼすのは枚挙にいとまがないわい。

(助手)それは主に個人の場合ですよね。でも,近代国家では生存権が保障されているので,例えば自己破産を宣言することによって,最低限の健康で文化的な生活を送ることができます。つまり,借りた金は必ずしも全額返す必要はないと。

(博士)そうじゃ。借りた金は返すのが当然じゃが,借りた金を返すことによって生存権が脅かされる場合には,貸した方にあきらめてもらうしかないというのが,近代国家というものじゃ。君が言いたいのは,個人間ではなく国家間の借金に関して,生存権の立場から借金の棒引きが合法的かどうかということじゃな。

(助手)そうです。国家は個人の集合体ですから,ギリシャが借金を返すことによってギリシャ国民の生存権が脅かされるとすれば,IMFは借金を一部でもあきらめるべきなのかなと。

(博士)考え方としてはそのとおりじゃな。ただし,この考え方で借金の棒引き額を決めるのは容易ではないのう。いろんな考え方がある。

(助手)いろんな考え方ですか? ワタクシは生存権を最低限満たす一人当たりの財産額に国民の人口を掛けた金額を残して借金を返済させればよいのではないかと思いますが。

(博士)国家の財産が国民の財産の集合体であると考えてよい場合にはそれでよさそうだが,国家と国民の関係はシームレスではなく契約に基づいた関係であって,国民全員を最低限の生活に引き下げるのは財産権の侵害になるだろう。

(助手)確かに,資本主義において国民の財線を一律にするのでは社会主義と言われかねませんね。ではどうしましょうか。

(博士)すでに国家による保護が必要な国民についてはある程度捕捉可能じゃろう。問題は金持ち層に対してどういう負担を求めるかじゃが,所得税の累進課税と固定資産税の増額を組み合わせるくらいかのう。

(助手)金持ち層が国外逃亡しなければいいんですが。

(博士)そこら辺はいろいろやりようがあろう。いずれにしても,金を貸す段階で返済能力を考慮するのは基本じゃ。

(助手)ところで博士,IMFが金を貸さなくてもロシアが金を貸すと言ってくるのではないでしょうか。

続く。
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